沈黙の歌Song of Whisper in Silence
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2024-02-09 00:00:00

物書きを始めるまで

中学の頃にちょこっと二次創作でBL小説を書いていただけの人間が、また何でいきなりこんな性癖闇鍋な作品を書こうと思いついたのか。
プロフィールではちょこっと書いてますが、知りたい人のために書いておきます。
ちょっと重たい話ですので、閲覧注意です。

それはとある作品との出会いがきっかけでした。
所謂人権剥奪モノ、普通の女の子を物として調教していく……テーマ自体はありふれた作品ですね。

基本的にブラウザには広告ブロッカーを入れてあるのですが、その時たまたま仕事の都合でブロッカーを外したままにしていてうっかり出会った、というか個人的な感情としてはむしろ被弾したと言った方が良いのでしょうか。
これがまた性癖にバッチリ嵌まる作品だったのですが、連載が続くにつれてどんどん精神的にしんどくなってしまったのです。

ずっとその理由が分からず、けれど続きが気になって(なにせ内容自体は性癖ど真ん中でしたので!)読むのも止められず、読んでは訳の分からない怒りと不安感に襲われる、というのを1年くらい繰り返した頃でしょうか。
ある日突然、そのしんどさの原因が発覚しました。

『どう見ても生涯精神的な傷を抱えること間違い無しのことをやられているのに、今後社会に普通に戻れる展開が明示されている』

現時点の物語の中には出てきていないけれど結末として示唆されている情報。
この一点だけで、自分はアホほど感情を振り回されしんどくなっていたのです。

たかがファンタジー、フィクションです。
そう割り切れれば良かったのですが、残念ながら自分はその現実を知っています。
それは医療に携わった者としてだけではなく、直接の経験者としてでもあります。

あ、ちなみに性癖自体はその経験以前からこの状況でしたからww
もちろん多少は影響があったとは思います。少なくともこれほどまでに貞操帯に惹かれる原因のひとつではあると思っていますので。

というわけで、まさかただの作品に「その未来はあり得ない」という強烈な不快感とついでにトラウマを全力で抉られるというのが原因だった、発覚して良かった良かった……とはならないんですよねぇ、これが。

嫌なら見なければ良い、それが一番簡単な解決方法でしょう。
けれども自分にとって、それは一番困難な、そして何の根本的解決にもならないものでした。
1年間、何度も購読を止めてはまた購読するのを繰り返してきた段階で、自分はその手段が有効で無いことを痛感していたのです。
恐らく一種の自傷行為だと思います。言い方はあれですが、苦しむことを楽しんでいるってやつなのです、これは。詳しく話し始めるとかなり長い話になりますので書きませんが、人間の自己認識に関わるだけに厄介なんですよね。

その原理が分かっていてすら離れられない。性的虐待の後遺症ってのは本当にろくでもないもんです。
こんなSEOすらまともにかけてない変態性癖満載の小説サイトを読みに来るような方々は弁えた大人ばかりだと思っていますが、妄想の中では何やったって自由だけどリアルでやっちゃいかんですよ、確かにこれは正しく魂の殺人ですから。

だいたいこの手の傷という奴は、無視したところで人生のいろんなところで顔を出してきます。
そして残念ながらどれだけカウンセリングや治療を行ったところで傷があるという事実は消えず、それが故に自分はこれ以上外の手段に頼ることをすぱっとやめ、生涯それを抱えて生きる……これを覚悟と呼べばまぁ格好いいですけど、ある意味では諦念ですね、ともかくそう決めて生きています。

で、考えたんです。

どうせ離れられなくてしんどいなら、もう全力でこの作品及びそこから出てくる自分の反応と向き合って、ついでに本当に自分が求めるものを見定めればいいんじゃないかと。

……ええ、多分この考え方は普通じゃ無いと思います。
けれどまぁ、自分も人生折り返すほど生きてきて、しかもちょっと『普通』からはかけ離れた環境で生きて来ちゃったので、結局問題が起こったときは正面突破が何事に於いても一番マシ(しんどいけど死にはしない)だと骨身に染みているんですよね。

解決を求めれば沼に嵌まります。
解決なんてものは、事実を見定めたら勝手に向こうからやってくるものです。
事実を見定めることは往々にして痛みを伴いますから、あんまり人にはお勧めできませんけど、残念ながら世の中にはもはやそこにしか道が残っていないような人もいるんですよねぇ……

まぁともかく、そんなわけで2ヶ月ほどその作業を繰り返した結果、これまたある日突然降ってきたのがサンコイチのネタでした。
幼馴染みが恋愛要素無しのSMというコミュニケーションを通して成長していく、というのが最初のコンセプトでです。

合意と信頼の元に結ばれた主従関係の行き着く先を書いてみたくなったんですね。
ご都合主義全開であまりにも現実からかけ離れた結論では無く、どんな結末に転んでもそれが多少の誇張はあれ自然と思える範囲内の話であること。

それとは別に『普通』というものを書いてみたかったんです。
世間的には普通とはかけ離れたものを持ち合わせた者が、その関係の中でどう答えを得ていくのか。

私たちの『普通』は自分で決める、これがこの作品の主題です。
最初に決めていたのは、この主題に沿うこと、最後は彼らなりの答えを見つけること。周りがどう思おうが、彼らの中では幸せな結末を迎えること。
あと、主人公は幼馴染み3人、かつBLと主従関係を別々に成り立たせることもですね。

ただ重ための主題は持たせてますけど、基本的には自分の性癖に刺さるプレイを全力でぶち込みまくって、彼らがわちゃわちゃするのを楽しむつもりで設定やあらすじを作っていきました。
あらすじの段階でちゃんと完結して一旦満足して、それを読み返す度にどんどん登場人物の設定は細かくなり、入れたいプレイはどんどん増えていき……まぁいいよね、半分は自己供給目的だし!と開き直った結果、歯止めがきかなくなりましたw

で、いざ書き出したら思った以上に楽しくて、基本あらすじには沿ってますけど書いていくうちにキャラが好きに動いて更に話が膨らんでww
これをスマホの中だけに置いといて自分だけで楽しむのもなんだかなー、でも元々の主題はかなーり重たいし、いくら性癖に刺さってもこう言うのは読んで疲れるんちゃうかなーと思い悩むこと数日

考えるのめんどくさくなったから、公開しちまえ!
どうせpixivで場末のアカウントが書いてる小説なんざよほどの物好きじゃ無きゃ読みゃしねぇよ!

と、無意気に公開しちゃったのでしたww

2ヶ月かけてとんでもない文字数の超大作に仕上げてしまいましたが、お陰で自分にとって『書く』という表現方法が最も得意であること、商売っ気ゼロで書くことの楽しさ、何よりこんな性癖闇鍋小説でも刺さる方がいる事を知れました。
性格的に、ネタがあれば延々書き続けて無くなった途端にパタッと書くのを止めてしまいそうな気もするのですが、今のところストックは途切れないので楽しく書き続けることになりそうです。

その性質上どこまでも自分の性癖を満たしトラウマと向き合うための執筆となりますが、新しい世界を知ってネタが出来れば、結局ずっと何かしら書き続けていそうですww

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