沈黙の歌Song of Whisper in Silence
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2024-02-11 00:00:00

スマホで小説を書く(2)

小説のデータ管理、どうしてる?

小説を書き始めてからふと気になったこと。

「データの管理、どうしてるんやろ」

当時はUlyssesで執筆をしていて、創作の資料から本文まで全てこのアプリの中にありまして、独立したファイルというのは作っていなかったんですよね。
割と投稿サイトやアプリに保存しているだけの人も多いんじゃないのかな……

で、最初はそれでも良かったのですが、途中からポメラで執筆を始めると途端にデータの管理が面倒になりましたww
Ulyssesで1話ごとに分けたあらすじをポメラにコピペして、書いて、書き終わったらポメラからまたUlyssesに移して各投稿サイトへ。
一手間増えるだけで大分面倒ですw

その上、今の状態だとアプリが消えたら全てが無くなってしまう。
となればローカル(パソコンやスマホの中)でデータを管理したい。
テキスト形式で保存して、iCloudで同期するのが便利かな……

と、つれづれ考えていたときに何となく「もう面倒ついでにgitで管理したらええんでね?」と思いつき、調べたらやっぱり同じ事を提唱している人がいて「これだ!」となって、その日のうちに管理体制を整えたのでした。


gitとは

多分エンジニア界隈じゃないとあまり馴染みがないやつですが、ざっくり言うと「ファイルを履歴毎管理ができるシステム」です。
ほら、業務でエクセルファイルを更新したときとか、前のファイルの内容も置いておきたいからって

「最新版.xlsx」
「最新版v2.xlsx」
「最新版v2_20240125.xlsx」
「改訂最新版2024.xlsx」



みたいにファイルが増えていき「つまりどれが最新版なんや!!」って叫びたくなった事、ありません?
私はあります。めっちゃあります。なんならエンジニアとして仕事をしていてもこういう管理の現場に出くわすことがあります。
ぶっちゃけちゃぶ台ひっくり返して泣きたくなります。うち、ちゃぶ台に開発機が載ってるからひっくり返せませんが。

んで、gitというのは

  • 誰がどのファイルを作り、何を書き込んだのか、何を削除したのか、どこが変わったのかを全部記録してくれている
  • その記録はずっと残っている上、他の人ともファイルだけで無く履歴も共有できる
  • 一つのファイルで前のバージョンを参照することができる
  • 何なら前のバージョンに戻すこともできる
  • 複数人で同じファイルを編集して統合することもできる(誰か1人の変更で上書きにならない!)

という特徴を持っています。
そうして複数人でそれぞれのデバイスで管理しているもの(ローカルリポジトリと言います)を、web上のリモートリポジトリと呼ばれる管理場所に同期して置いてあるのです。

つまり、小説を書く場合(大抵は1人で執筆すると思いますが)

  • いらないと思って消したエピソードを復活できる
  • うっかり削除してしまったファイルも元に戻せる
  • デバイスが壊れても、そこまでの変更をリモートに上げていれば新しいデバイスにそのまんまダウンロード(cloneと言います)してこれる、もちろん履歴も見られる!
  • web上に置いておくと言ってもプライベートの設定にすれば、中身が公開されることはない(これ大事)

特に一つ目ができるのがとても大きいです。
私は本文執筆中は最低でも1日に1回コミット(履歴を保存)しますが、後になって「あの表現やっぱり使いたいわ!」と履歴を辿ってコピペしたことが何度もありますww

ただ、一つ大きなデメリットがあって

  • 学習コストがかかる

使い慣れれば非常に強力なツールなんですが、ちょっと覚えるのが大変。
プログラミングをする人だと業務で使うのですんなり馴染めますが、そういった物に縁が無い人が一から学ぶのは意外と大変だと思います。
何より本やサイトを読んだだけではさっぱり分からない(分からなかった人)
実際に適当なファイルで触りながら覚えるのが一番早いです。

ちなみに本で学ぶならこれがお勧め。うちの子が小学生のときにこれで覚えたので、多分分かりやすいはず。

改訂2版 わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門


スマホでgitを使いたい

パソコンでgitを使うのはそれでも簡単なんです。
確かに学習コストはかかりますけど、上の本を読みながらGitHubに登録して、Sourcetreeのようなgitクライアントをダウンロードすれば、ターミナルとか言う黒い画面とにらめっこして発狂する事も無くお手軽にgitが使えますから。

ですが、これがスマホとなると一段ハードルが上がります。
スマホに対応したgitクライアントはまだ少なくて、しかも有料のアプリが多いです。

私が当初使っていたのはWorkingCopyです。
使いやすいアプリではあったのですが、そもそもコード編集用に作られているせいかエディタが貧弱。テキストファイルだと文字色が水色固定ww
そしてweb上のリモートリポジトリから持ってくる(clone, pull)ことはできても、変更をweb上に上げる(push)は有料ときたもんだ。
お値段、当時で年間4000円。趣味の字書きが捻出するにはちょっとためらう感じ。
ほんっとーに使いやすくはあったんだけどね!!

Working Copy - Git client

自分の場合は他の用途でもgitを使うのでまぁいいか、と思ってこれをずっと使っていたのですが、ある日Xでこの話を呟いたところ

gitクライアント付きのテキストエディタ制作元からいいねをもらった

事がきっかけで、LiquidLogicの存在を知ります。

テキストエディタ LiquidLogic

ちなみに当時の呟きはこちら

これがきっかけでLuquidLogicに乗り換えました。
いくつか不満点はあるものの、概ね問題無く使えています。
なによりお値段が良心的。年額1000円は太っ腹にも程がある。

ファイル選択画面

ファイルの管理画面です。ボタン一つでソートができます。

編集画面

編集画面です。
画面が小さくて見づらいですが、ファイルはタブで開かれています。
検索・置換機能が充実していて、正規表現での検索置換ができる点が素晴らしいです。
私の場合は小説の管理のみならずこのサイトへの小説投稿もアプリを使って行いますので、この状態のテキストに「行末に改行タグを一気に入れる」事が出来るのが非常にありがたいんですよね。

右下に文字数カウンタが出ます。地味に嬉しいです。

左ボタン

メニューはここから。
小さいスマホでも押しやすいです。
ちなみに自動保存機能もあって、内容を変更してから10秒経つと勝手に保存してくれます。

アプリの設定

あくまでもエディタなので、設定は充実しています。
ダークモードにも標準対応、フォントサイズだけで無く行間が設定出来るので自分のような目があまりよろしくない人間にも親切です。
行番号や文字数の表示はオンオフ可能です。

右ボタン

右のボタンからは、この編集画面とファイル管理画面、あとはファイルをネット上に上げたりブラウザを開いたりする機能を利用できます。
私はgit管理なので、使うのは上2つだけです。

ファイラー

ファイル管理画面です。ファイルの管理形式はかなり選択肢があります。
iCloudにも対応しています。

アカウント追加

これだけ対応していれば、他の管理システムとの連携や移行もスムーズかと。

全体的には使いやすいアプリなのですが、不満点はいくつかありまして

  • カーソルの動きが悪い

指でカーソルを狙ったところに持って行くのがちょっと反応が悪いというか難しいです。
この辺はUlyssesが優秀なだけに余計に気になるのかも。選択が上手く出来なくてイライラすることがあります。

  • git操作に限るなら操作が直感的ではない

エディタ画面からだとタブをタップすればコミットはできるのですが、pushができない。
一度ファイラー画面に戻り、かつ目的のローカルリポジトリを『長押し』しないとメニューが出てこない。
最初どこからpushするのか分からなくて困りましたw

この辺が改善されるといいなぁと思っています。
ただ総じて満足度は高いので、gitクライアントとして使うなら今ならこれを勧めますね。


ネタ出しから小説投稿までの流れ

2024年2月現在、執筆にはこんな感じでツールを使っています。

ネタ出し、設定作成、あらすじ作成

Ulyssesを使います。
ネタはネタ用のフォルダを作って1ファイル1ネタで管理。
時間があるときに少しずつ設定やあらすじを書き足していって、良い感じに育ってきたらw専用のフォルダを切ってファイルを分割して管理します。 この段階ではgitでのファイル管理はしていません(単に面倒だからですw)

執筆

ポメラを使います。
1話1ファイル、ポメラで書いたファイルはスマホに送れますが、これをスマホで編集して更にポメラに戻す(上書き)はできないため、その日書き上げたところまでをスマホに送ってLiquidLogicのエディタで作成したテキストファイルにコピペします。
この段階からはファイルを変更する毎にgitにコミット(変更を記録)しています。

推敲

1回目はポメラ、2回目はLiquidLogicで行います。
gitクライアントとしてWorkingCopyを使っていた頃はUlyssesに一旦推敲した文章をコピーして2回目の推敲を行っていましたが、LiquidLogicはそもそもがエディタなので十分推敲に使えます。

と言っても、やはり文字を書く快適性は圧倒的にUlysses(そしてポメラ)が上なので、あくまでもエディタは補助的な扱いです。

修正

公開後の修正はLiquidLogicのみで行います。
サイトの微修正なんかもこのアプリで行っているため、サイトの文章も一緒に修正できる点が便利ですね。


ちなみにめんどくさがり屋なので、公開直後にいただいた誤字や表現の修正は小説投稿サイトでも行っていますが、それ以後見つけた物はこのサイトのみで修正しています。
特にサンコイチの1話と2話は大幅に加筆修正されているんだな……多分今後も合間を見て少しずつ修正されていくと思います。

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