沈黙の歌Song of Whisper in Silence
沈黙の歌Song of Whisper in Silence
HomeNovelBlogToolsProfileContact

2024-11-24 13:23:00

ある二等種の慟哭 製作小話

2024年5月から連載していた「ある二等種の慟哭」がようやく完結しましたので、雑談めいた小話でも。

執筆のきっかけ


元々サンコイチを書いていた頃に考えていたネタの中に「パラレルワールドの貞操帯管理モノ」というのがありました。
そもそもは人権剥奪ものの世界観にあかりちゃんを放り込んだらどうなるんやろな、から始まったネタなのですがwwそこに以前から考えていたパラレルワールドの話がくっついて爆誕したのが「特異点」です。

で、最初はこれを書くための準備をしていたんですよねぇ……
いつも通りキャラ設定を作って、世界観を作って、その間にあらすじがどんどん中身濃くなっていって、ある程度まで出来たら1話分に分割して執筆スタート、というのがいつもの流れでして。
今回もその方法でやっていたんですが……ちょっと題材がまずかった。

以前少し書いたと思いますが、私が執筆を始めたきっかけは、とある人権剥奪ものの世界観でトラウマを抉られた結果です。
ファンタジーと分かっていても、あまりにリアルからかけ離れていると(とくに精神面で)これほど不快に感じるものかと、ある意味新しい知見を得ましたw

で、それと前後して始まったコロナ騒ぎ。
一連の茶番に関する評価は置いといて(これだけでどう判断しているかは分かりそうですけど)、海外住まいで居住地区から出られないレベルのロックダウンを数回、かつワクチン未接種者に対する「スーパーとコンビニ、本屋以外に入店不可、移動制限、ライドシェア乗車制限あり」というプチ人権剥奪をリアルで1年以上にわたり経験した結果

人間の人権意識なんて容易に操作できるし
剥奪する側の狂気の変遷も剥奪された側の感覚もストックができちゃった(´・ω・`)

……その結果
「エロ系の人権剥奪世界をリアル体感を参考に組み立ててやろうじゃないの!(`・ω・´)」という訳の分からない情熱が燃え上がってしまいましてww
表には出していない人権剥奪ものの小説が何編か爆誕したのでしたw

で。
この世界観をベースに「特異点」の世界観を構築しようとしたんです。
そしたら


話を作るより世界設定を作る方に夢中になってしまった



…………ええ、まぁ、良くある話なんですけど
創作歴自体は短いものの、妄想歴は数十年。しかも妄想の中でキャラを動かすための世界を作る方が好きなクチでして。
何も考えず「調教する側の組織構造いるよな」「調教の過程はきっちり決めておかねば」「保管庫のサイズどうすんべ」と妄想を広げ続けた結果

「特異点」の中で使わない設定が8割の世界観が構築された( ゚д゚)



もうね、本末転倒とはまさにこのことですよ!
確かに本編で出てこない世界観をしっかり作っておけば、多少キャラが脱線しても受け止めるだけの余裕はできるし番外編も展開しやすいっちゃしやすいんですが、誰がここまでやれと言った

まぁそれでも、本編の執筆には特に問題はないんですよね。
そう、ないんだけど


これ、流石に使わないのは勿体なくね?
どうせなら巷にある人権剥奪ものに習って、そういう話を世界観説明兼ねて書いてみたら供養になるんでね?(*´ω`*)


……ということで、このイメージイラストが爆誕したのでした。

イメージイラスト


この段階では、両端のキャラを使って性処理用品の完成までをじっくり書いていこうかなー位しか決まってませんでした。
一応ただの説明だけではつまらないので、それなりに二体の感情描写は入れよう、んで完堕ちして終わらせよう。本編とは多分関係しないよな、保護区域が違うし……

と思って、本編と並行して慟哭を書き始めたのが5月。
割とすぐに「あ、本編でこの子達出せそうだわ」となって、本編は一旦中断して慟哭に専念することになったのでした。

当初と変わったこと

最初の予定から大きく変わったのは、3つ。

一人目は冬真(571M613(S))
1話でちょこっとだけ出てきた彼は、最終話で「人間様」になって初恋の人であった72番の心にトドメを刺すキーパーソンになる予定でした。
ですが話が進むにつれ、72番がただの甘ちゃんだけではなく、不思議ちゃんと二等種の性質が混ざり合ったお陰で無自覚なトラブルメーカーに進化してしまったため、二等種に恋しさらに二等種からも魅入られたがために堕とされる、気の毒な子になってしまうという(´・ω・`)

本編で彼の出番はありませんが、堕とされてなお彼の72番への想いは変わることがありませんでした。
S等級は数が少ないこともあって、返却されれば検品と復元を経て、展示されることなく指名先に貸し出されるのが常です。
まさに息つく暇も無く穴を酷使され続け、とはいえ高級性処理用品として初期設定後は比較的まともな環境に設置・保管され(人間様基準では)大切に扱われていたようです。

二人目は104番
彼がヒトイヌになることは確定でしたが、最初は公営の精液便所に設置され、最底辺の扱いを受けた上で非情に悲惨な末路を遂げる予定でした。

ヒトイヌの場合、穴が反応さえすれば性処理用品としての用は果たせるため、耐用年数は他の性処理用品より長くなっています(通常製品は15年、高級製品で20年、ヒトイヌは25年前後)
ただし棺桶ほどでは無いものの極端な感覚制限と、ヒトイヌ故に絶頂許可を出す人間様がほぼ存在せず、本来長持ちさせるために沈静下で月に一度与えることが義務づけられている絶頂すら与えないまま放置される事がほとんどのため、二等種の精神は半年としないうちに壊れてしまい、まさに生ける屍となるのが通例です。

ですが、生来の生真面目さとイツコの気まぐれ?により愛らしい尻尾を着けられたことで、彼の運命は激変します。
故郷に設置された104番は、元々S等級並みの穴の性能を持っていた上に追加で加工されたお揃いの耳による愛情行動の甲斐もあって、長く地域住民に愛されるヒトイヌとなりました。
特に女性利用者への人気は高く、ヒトイヌにしては珍しく利用の度に絶頂の許可を貰っていたようです。
104番自身が言葉を解さなくなっても「逝け」の命令だけは消えなかったと言います。

そして彼の「その後」は本編でも描かれます。
慟哭の中で出てきた二等種の中では、恐らく最も幸せな未来を掴むことでしょう。
…………彼にそのことが理解できるかどうかは置いといて。

そして。
最後にイツコ(249F125(X))

彼女はただの古株の作業用品として、今回の出荷後に壊れるだけの予定でした。
が、9話で作業用品の最期の処分シーンが出てきた事で一気に話が膨れ上がります。
あれは話の流れで勝手に指が動いたエピソードだったのですが、あれよあれよという間に彼女のバックグラウンドが爆誕し、そのまま「壊れる権利すら人間様に奪われた作業用品」としての地位を確立してしまいました。

彼女の「その後」も、間接的にですが本編で描かれます。
ヤゴも含めたその後の展開は既に決まっているため、本編終了後に番外編で少し触れたいなと。

……とまあ、最初はタイトルである「ある二等種の慟哭」は72番と104番の事を指していたはずなのですが、終わってみれば何体の慟哭を作るんじゃい!という大変救いの無い話になってしまったのでした。

早々に諦めた613番、足掻いたけど最終的には諦めた104番、そして最後の最後まで足掻いて、半ば壊れた心で受け入れざるを得なくなった72番――
少なくとも彼らに明るい未来は用意されていません。

この辺は本編で書く予定ですが、一度負った傷は表面的に忘れてしまってさえ、いえ忘れてしまったからこそ、原因すら追及できないまま生涯心を苛み、人生を歪ませる……
このリアルだけはどうしても譲れない一線ですので、ご都合主義のハピエンは期待しないで下さい。
自分にとっての執筆は性癖の発露であると共に、長年溜め込んできたトラウマを棚卸しし、じっくり向き合うためのツールでもありますので……

とはいえ、そんな作品でも楽しんでくれる方がいるなら、それはそれでありがたいと思っています。

それでも本編は、サイドストーリーよりは幾分救いのある終わり方をする予定です。
何より

「人権剥奪の世界にあかりちゃん並みのドMをぶっこんでみた、それも二人!」

とかいう無茶苦茶な設定故に、サイドストーリーとは相当温度感が違いますのでww可哀相が可愛いなんて話にはならないと思います。

カテゴリー:

タグ:

一覧に戻る
© 2025 ·沈黙の歌 Song of Whisper in Silence